丸井(マルイ)で買い物をする若者たちの間で定番だったクレジットカードがあります。それが通称「丸井の赤いカード」です。その名の通り券面が赤く、「赤いカード」という名称で正式に発行されていました。2000年代前後には18歳以上になれば誰でもと言っていいほど簡単に作れるカードであり、おしゃれな服や雑貨を分割払いで買える手軽さから大変人気がありました。
しかし、このカードを巡って多くの利用者が思わぬ借金問題に直面し、社会問題にまで発展したのです。いわゆる「丸井 赤いカード 問題」とは何だったのか、そして当時カードを使いすぎて今なお返済に悩む人はどう対処すればよいのか、本記事で詳しく解説します。
丸井の「赤いカード」とは?
まず、「丸井の赤いカード」とはどのようなカードだったのか簡単におさらいします。丸井がかつて発行していた自社クレジットカードで、正式名称もずばり「赤いカード」というものです。現在のエポスカードの前身にあたり、当時はVisa等の国際ブランドが付かないハウスカードでしたが、丸井の店舗での買い物に絶大な威力を発揮しました。
人気だったの理由
一番の特徴は審査の通りやすさです。18歳になりたての大学生や新社会人でも簡単に作れたため、社会に出て初めて持つクレジットカードとして「赤いカード」を選ぶ若者が非常に多かったのです。
当時は「服を買うならマルイ」と言われるほど丸井が若者ファッションの中心地であり、収入が少なくても憧れのブランド品を手に入れるには赤いカードで分割払いするしかない、という時代背景もありました。
実際、バブル崩壊後も1990年代後半~2000年代前半まで、丸井の赤いカードは多くの若者にとって魔法のような買い物カードだったのです。
金利が高すぎる落とし穴
しかし、その便利さの裏には大きな落とし穴が潜んでいました。赤いカードはショッピング利用だけでなくキャッシング(現金の借入)機能も備えており、しかもその金利は年27.0%にも及ぶ高率でした。
この27%という利率は、当時いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれたもので、現在の法律では違法となる水準です(後述)。また、ショッピング利用もリボ払い(リボルビング払い)や長期の分割払いが中心で、支払いが先延ばしにできる分、つい使いすぎてしまう傾向がありました。
丸井の赤いカード問題
赤いカードが流行した当時、多くの若者は計画的な支払いよりも目先の欲しい物を手に入れることを優先しがちでした。その結果、支払い能力を超えてカードで買い物やキャッシングを重ねてしまう人が続出します。
高金利のリボ払いは毎月利息ばかり払い続けて元本が減らない仕組みのため、気づいた時には借金が雪だるま式に膨らんでいました。こうして「丸井の赤いカード」をきっかけに多重債務に陥る若者が社会問題となり、「丸井 赤いカード 問題」としてクローズアップされたのです。
「丸井 赤いカード 問題」とは?
では改めて、「丸井 赤いカード 問題」とは具体的にどんな問題だったのでしょうか。当時そのカードを利用した人々にどのようなトラブルが生じ、なぜ社会問題化するまでに至ったのかを掘り下げます。
利用者が抱えたトラブル
高金利とリボ払いの罠
最大のトラブル要因はやはり高すぎる金利とリボ払いの仕組みです。年27%という赤いカードの利率では、毎月の支払いの大半が利息に充てられ、元本(借りたお金)がなかなか減りません。
例えば10万円を借りた場合、月々の最低支払額を払っているだけでは利息ばかり払い続けることになり、完済まで長期間かかってしまいます。また、リボ払いでは利用残高がある程度減るとまた枠が空いて借りられてしまうため、「借りては返し」を繰り返して終わりが見えない状態に陥りがちでした。
返済が長引く仕組み
赤いカード利用者の中には、一度この罠にはまり抜け出せなくなる人もいました。具体的なケーススタディとして、ある利用者の例を挙げてみましょう。新社会人のAさんは月々の給料が手取り15万円程度でしたが、丸井の赤いカードで毎月10万円のキャッシング枠いっぱいまで借りては遊興費や買い物に使っていました。
給料日には利息と最低返済額を支払いますが、それだけで約半分の5万円近くが消えてしまい、手元に残るお金は僅かしかありません。
生活費が足りなくなるとまたカードでキャッシングし、その返済のために別の消費者金融からも借りる…という悪循環に陥りました。
まさに「自転車操業」で借金を借金で返す状態になり、最終的には借入先が増えすぎて返済不能(パンク)に至ってしまったのです。このように、赤いカード利用者には多重債務に陥る人が少なくなかったのです。
延滞による取り立ての激化
借金が膨らみ支払いが滞ると、精神的な追い詰めも始まります。赤いカードは支払いが遅れると丸井からの厳しい取り立て電話がひっきりなしにかかってくることでも有名でした。
当時は他の消費者金融でも過激な取り立てが問題視されていましたが、丸井も例外ではなく、延滞者への督促は相当なプレッシャーとなったようです。こうした状況下で追い詰められ、自殺者が出たり自己破産に至るケースも社会的に問題視されました。
なぜこの問題が起きたのか?
当時の消費者金融の状況が関係
2000年代前半までの日本は、今と比べて貸金業への規制が緩く、消費者金融全盛の時代でした。年収に対する貸付額の制限(総量規制)もなく、利用者の年収と同額かそれ以上の借入枠を平気で与える貸し手も存在したほどです。また、利息制限法の上限(金利15~20%程度)を超えるグレーゾーン金利での貸付も横行しており、丸井の赤いカードの27%もまさにその典型でした。
法律上は違法ではないものの(出資法による上限が29.2%だったため)、借りる側からすれば極めて不利な高金利です。こうした環境下で、知識のない若者が簡単に高金利の借金をできてしまったことが問題の温床になりました。
丸井の赤いカード問題に直面した人は過払い金の可能性(大)
過去の払いすぎたお金は戻ってくる
丸井の「赤いカード」は既に新規発行が終了して久しく、今やエポスカードへと完全に移行しています。しかし、当時赤いカードで負った債務に今なお苦しむ人も存在します。
法改正によりグレーゾーン金利での請求はできなくなったものの、過去に払いすぎた利息は「過払い金」として請求が可能です。実際、2024年現在でもエポスカードに対する過払い金請求は行われており、赤いカード時代から利用していた人は平均して30万~50万円ほどの過払い金が発生しているとの報告もあります。
利用額が大きかった人では60万~80万円、ケースによっては180万円近い過払い金が発生していた例もあるようです。過払い金は完済済みの場合は現金として返還され、返済中の場合は残債務と相殺されます。過払い金請求のおかげで「借金が大幅に減って救われた」という声も多く聞かれます。
一方、過払い金請求をせずに払い続けている方の中には、「借金は減ってきてはいるものの、長年支払いが負担になっている」というケースもあるでしょう。当時の借入が原因で自己破産や債務整理に踏み切った方も少なくありません。つまり、丸井赤いカード問題の影響は十数年経った今でも完全には消えていないのです。
企業側の対応
過去の清算として過払い金返還にも対応しています。エポスカード(丸井)は他のカード会社同様、依頼があれば取引履歴を開示し、法律に則って過払い利息の返還に応じています。
これは義務とはいえ、かつて自社の高金利で迷惑をかけた利用者への償いとも言えるでしょう。当時の関係者によれば、「赤いカード問題」は丸井社内でも教訓として共有され、その後の経営方針に活かされているとのことです。
丸井の赤いカード問題を完全に解消するには
もしあなたがかつて丸井の赤いカードを使っていて返済に困っているなら、今からでも取れる解決策があります。
自力での返済が難しい場合、法的な手続きを利用して借金を減額・免除する債務整理という選択肢があります。債務整理には主に次の3つの方法があり、それぞれ特徴や適した状況が異なります。
任意整理
裁判所を介さず、債権者(カード会社等)との直接交渉によって返済条件を緩和してもらう手続きです。具体的には、弁護士や司法書士が代理人となり将来利息のカットや返済期間の延長交渉を行い、無理のない金額を3~5年かけて分割返済します。
過去にグレーゾーン金利で取引があった場合は利息制限法に基づく引き直し計算を行い、元本自体を減額できるケースもあります。任意整理は財産を処分せずに済み、手続きも比較的簡易なため、今後利息を付けずに元本だけ返済していけば完済できる見込みがある人に適した方法です。
個人再生(個人版民事再生)
裁判所を通じて借金を大幅に圧縮する手続きです。住宅ローン以外の借金総額が5000万円以下で、継続的な収入がある人が利用できます。原則として借金は5分の1程度(最大90%減額)に減額され、その減額後の借金を3~5年で返済していきます。
例えば借金が500万円なら100万円程度まで減額されるイメージです(※減額幅は債務額に応じ法律で定められています)。
個人再生の大きなメリットは、マイホームなどの財産を維持したまま借金だけを減らせる可能性があることです(住宅資金特別条項の利用)。
したがって、借金額が大きすぎて任意整理では返しきれないが、家など守りたい資産があり自己破産は避けたい人に向いています。
自己破産
裁判所に申し立てて、法律上返済義務のある借金を全て免除(ゼロ)にしてもらう手続きです。支払い不能と認められることが条件で、裁判所から免責許可が下りればカード借金やローン債務は原則全額帳消しになります。
最も強力な救済策ですが、その分デメリットもあります。一定以上の財産(不動産や高額な車など)は処分されて債権者への配当に充てられますし、手続き中は一部職業制限(士業や会社役員になれない等)もあります。
また信用情報(いわゆるブラックリスト)にも最長10年程度載るため、その間は新たな借入やクレジットカード作成が極めて困難です。それでも、支払いきれない借金から完全に解放されるメリットは大きく、収入や資産状況的に返済の目途が全く立たない人には有効な最終手段と言えます。
丸井の赤いカード問題は専門家の無料相談へ
債務整理を検討するにせよ、まずは借金問題の専門家に相談することを強くおすすめします。弁護士や認定司法書士であれば、以上のような手続きについてプロの視点でアドバイスしてくれますし、代理人として実際の交渉・手続きを代行してくれます。
メリット1交渉による有利な解決
例えば任意整理の場合、専門家が間に入って将来利息や遅延損害金のカット交渉をしてくれます。これにより、あなたは元本だけ返せば良い状態になるため、利息に追われていた頃より確実に完済へ近づきます。
自分一人でカード会社に交渉するのは難しいですが、法律のプロであれば適切な落とし所を見つけてくれるでしょう。
メリット2:過払い金の発見・回収
弁護士・司法書士に依頼すれば、取引履歴の取り寄せや利息の引き直し計算も任せることができます。前述のように赤いカード時代から取引がある方は高確率で過払い金(払い過ぎた利息)が発生しています。
専門家はそれを見逃さず、債務と相殺して借金を減額したり、完済済みであれば返還請求を行って現金を取り戻してくれます。自分では気付かなかった権利を行使できる点でも、プロに相談する意義は大きいです。

メリット3:督促のストップと精神的安心
代理人に依頼すると、受任通知が各債権者に送られます。これにより、貸金業者やカード会社から直接あなたへの督促連絡はストップします。あの嫌な取り立ての電話や督促状に悩まされることもなくなるのです。問題解決に向けて動き出しているという安心感も得られるでしょう。
メリット4:無料相談と減額診断の活用
お金のない状況で専門家に相談するのは不安…と思うかもしれません。しかし多くの法律事務所が初回無料相談を実施していますし、メールや電話で気軽に相談できます。また最近ではウェブ上で匿名・無料でできる借金減額診断サービスも登場しています。
簡単な質問に答えるだけで、債務整理を行った場合にどれくらい借金が減りそうかシミュレーションしてくれるものです。これらを利用すれば費用をかけずに大まかな見通しを知ることができます。
専門家への相談は問題解決への第一歩ですので、「こんな状況になって恥ずかしい…」と悩みを抱え込まずに、ぜひ勇気を出してプロに現状を打ち明けてみましょう。きっと適切な道筋を示してもらえるはずです。
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